ずっとピアノ・ソナタばかり聴いているのもナニなんで、アルゲリッチが弾き振りをしたハイドンのピアノ協奏曲を。

この録音、有名ですよね。もとは小さい会社の吹き込みだったのに、EMIから出直って、RCAに移り、今はそのRCAからライセンスを受けたタワレコが発売していたような…。とにかく演奏内容だけで何度もよみがえるゾンビ盤ですね。

第1楽章。まずこのやや早めのテンポが実に最高です。これでこそハイドンは生きますね。そして、そのテンポを弛ませることなく(それが素晴らしいんですね)、アルゲリッチが虹色のピアノをまき散らし疾走してゆきます。

ソロも造形も全く破綻がありません。そして、若き日のアルゲリッチはなーんにもしていないように聞こえるんですね。これはもはやこの時代の彼女だけが持っていた「魔法」と称するしかないのではないでしょうか?音楽の女神が降臨しています。

第2楽章。ここも、やや早めのテンポでダレません。ウム、アルゲリッチが弾いておるな、という感じはやはりなく、なんて美しい音楽なんだろうなぁ、と言った極めて平凡な感想しか出てきません。

聞きものはカデンツァです。2分以上もある、かなり長いものなのですが、これが実に多彩で聞かせるのです。イントロはまさに天国の扉が開いた瞬間…という気がします。

これはハイドンがあらかじめ作っていたものでしょうか?僕はアルゲリッチが作ったんじゃないかなと信じたいのですが。いやはや、参ったね。

第3楽章は疾走するロンド。第1楽章と同じで、テンポ感がフレッシュで、次々と楽しい音が掘り起こされて行きます。主題も多彩を極めます。K488のフィナーレをより直線的にした感じというか。

ハイドン印の3連音がこんなに歌を持つなんてだれが考えたでしょうか?B3主題でフッと入りのテンポ遅めるとこなど、いつ聞いても新鮮な感動を覚えます。その後の新しいC主題の「待ってました!」といわんばかりの上昇短音階の軽やかさはいかばかりでしょう。

はぁ、言葉はなんて無力なんでしょうか。