2011年11月



先日、ブライアン・ウィルソンの『SMiLE(以下、『新スマイル』と表記)』について記事を書いたのだけれど、その時は、まったく、ビーチ・ボーイズ版の『SMiLE』(以下『本スマイル』と表記)が出るなんて知らなかった。

そのあとに『本スマイル』の告知がきて、全く仰天してしまった。自分が大体反応がない時は、びっくりしている時である(笑)。どう反応していいのだかわからないのだ。それは、ビーチ・ボーイズの音楽評論の大家、萩原健太氏も同じようで、いまだに『本スマイル』についてのブログでの言及はない。

ここで、『スマイル』とは何かを説明しておきたい。

「スマイル」とはビーチ・ボーイズと言う60〜70年代に活躍したアメリカのロックバンドの未発表アルバムのことである。67年の1月に発表が予定されていたが、いろいろな理由で発売は中止になった。

しかし、その時の録音が、オフィシャル、アンオフィシャル問わず、世の中に少しずつ流出した。1991年の『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』という5枚組のCDの中に含まれていたものが、オフィシャルでの一番大きなリリースであったといえる。もちろん海賊盤も含めて、曲単位でつまみ聞きされていたものが一番最初の『スマイル』である。これを『元スマイル』と名付けよう。

もちろん、アルバムとしてまとめられてはいない。この状態は、作品として未完成であると言っていいだろう。

萩原健太氏は、この状態で「『スマイル』の完成形がかなり具体的に描けるようになった」と書かれていたが、私は、まだまだ、全然足りない部分が多すぎると考えていた。だから、『スマイル』が完成されない以上、曲単位で楽しむべし、と考えていた。それでも、十分に輝いている曲があるわけだから。

しかし、記事を書いたとおり、2004年に、ビーチ・ボーイズのリーダー、ブライアン・ウィルソンが、『スマイル』で使う予定だった曲をビーチ・ボーイズとは別のメンバーと再録音して、アルバムを完成させたのだ。これが『新スマイル』である。

私は、記事で書いたとおり、『新スマイル』には辛い点数を与えた。それは、端的にまとめると、もっと未発表の曲やパートがあると信じていたからだ。しかし、出てきたものは、いままで発表された音楽でまとまってしまっており、自分の予想を超えるものではなかった。

『スマイル』というアルバムは、一貫したコンセプトでまとめられると言われ続けていたが、そのコンセプトも無理やりこじつけられた感じもあり、高校生の「マイ・ベスト・テープ」みたいな安っぽさも感じざるをけなかった。

しかし、とりあえずそれで『スマイル』の旅は終わりかと思われた。

しかし、ご存知の通り、今月、2011年の11月に、やはりブライアンの監修の元、オリジナル音源で仕上げた『本スマイル』がリリースされたのだった。

まさに44年越しのリリースである。

まとめると『スマイル』は以下の3種類のものがあると言っていいだろう。

1.「元スマイル」(アルバムの形を取っておらず、曲単位のもの)
2.「新スマイル」(ブライアンのリーダーが新録したもの)
3.「本スマイル」(このたび、本来の音源を用いてアルバムにまとめられたもの)


しかし『新スマイル』で失望を覚えていた私は、『本スマイル』に食指が動かなかった。たいして変わらないだろうと。おそらく貴重なオリジナル音源はオーバーダブされたり、安っぽいコンセプトで締め上げられてしまうのだろう(曲順を見て、『新スマイル』の"でっち上げコンセプト"を踏襲しているのが明らかだった)。

そしたら未完成でも、編集される前の生き生きと息づいているブート音源を聴いている方がましだ、とタカをくくった。

しかし、ここで一通のメールが届く。朝日新聞の文化部の記者の方からだった。私の『新スマイル』の記事を読み、『本スマイル』の意見も聞いてみたいとおっしゃるのだ。

それではと言うことで、私は『本スマイル』を聞いてみた。そして、取材を受け、感想を率直に記者の方に述べた。その記事は2011年の11月8日の朝日新聞の文化面に掲載されるはずである。

しかし、なかなかうまくしゃべれた自信がない。よって、その記事が世に出た明日以降に、いろいろ補足を書いていこうと思う次第である。記事が出る前にあれこれ書くわけにもいかないだろうから。




・・・え、よかったのか、悪かったのかだけでも教えろって?

そうだなぁ、特別だぜ。




とっても感動したね!(明日以降に続く)

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