2008年03月

4
◆マリア・カラス・コンクール/中丸三千繪

面白い。胸が熱くなった。なんというサクセス・ストーリー!知人が「金でしょ」と笑っていたが、僕にはどうもそうは思えない。

シミオナートにレッスンを受けていたらしい。僕の好きなポンセルの名もでてくる。パバロッティの話もたくさん。

僕も正しい発声で歌を歌いたくなった、が、最近発見した、語るような歌い方と真逆。いつもこの両極端を僕はふらふら行き来していて結論がでない。歌は・・・向いて綯いのかな。

3efcbb1b.jpgジェリー・マリガンとバルネ・ウィラン、この2人こそが、僕の偏愛するサキソフォニスと。ファンになったころ、まだ生きていたのも大きいかもしれない。僕が高校生の時にそろって他界してしまったが。

バルネ・ウィランの最高傑作といえば、『ルヴェンゾリの野犬』でキマりだけれど、この『モダン・ノスタルジー』の、まとまりを欠くくらいの多彩さを示したアルバムも偏愛させるに十分なものがある。

当時は気付かなかったが、バルネはかなりリズムに気を遣うジャズマンだ。『ルヴェンゾリ〜』も多彩なリズムに溢れたアルバムだったけれど、『モダン・ノスタルジー』はさらに上を行く。ハンク・モブレーで有名な「リカード」は2ビートでぐんぐん演奏を畳み掛けてゆく。バルネ版を聞いたらもうぬるくてぬるくて、とてもじゃないが聞いていられないぜ(ごめん、これは言い過ぎ)。

で、その中でもかなり異色なのが、1曲目を飾る「フォーエヴァー」で、この演奏は、初めて耳にした日から深く僕の胸に刻み付けられている。

アシッド・ジャズ風16ビートが基調となっており、ベースの刻みもそれ近い。けれど、バルネがサックスを吹けば、とたんに空気がピリッとひき締まり、即興演奏の恐ろしさが漂うジャズの雰囲気に。

といっても、バルネの吹くテーマはシンプル極まりなく、抽象的な断片処理だけといった感じ。緊張した雰囲気をキープしつつ、演奏も後半の4:58辺りにやっとメロディらしいメロディが登場するが、この格好いいこと格好いいこと。「語り口が上手い」というのはこういう演奏のためにある褒め言葉ではないだろうか。アート・ペッパーの「ブルース・イン」「ブルース・アウト」にも似た名演と言えるかもしれない。

リズムがどうであろうが、即興の姿勢こそがジャズなのだと言うことをバルネは教えてくれる。

ジャズに触れると言うことは、つまりはジャズ的に生きるということを知ることなのかもしれない。再発されたジャケット、色褪せおびただしい。「ALCR-145」をお探し下さい。

クラシック・ランキング

539bd629.jpgドン・チェリーって気になるアーティストだ。

なにせ、オーネット・コールマンと双頭コンボを組んでいただけで、タダモノではない感が溢れる。しかも、彼のディスコグラフィーを見ると、どうも民族音楽的なアプローチもしているようだ。興味ギンギンだが、まだ手を出しそびれている。

で、この「アート・デコ」というアルバムは、まったく普通のジャズアルバムである。彼の晩年のアルバムの一枚だが、なぜここに来て、オーソドックスなジャズをやろうとしたのかは不明だ。

編成はピアノレスカルテットで、テナーが入っている。じつに気楽で単純な編成といえる。ただ、これだけでも、十分ジャズになってしまうんだよ、そんなことをドン・チェリーは言いたかったのではないかと思ったりする。ジャケを見るとそんな気になって来る。

ジャズというのは、もともと、とてもエコノミーな音楽だった。有り合わせの楽器で好き勝手に合奏していたのが原点なのだから。当然(原則として)楽譜もいらない。

このジャケットは、ドン・チェリーと、彼の吹くポケット・トランペット以外には何も写っていない。これこそ、このアルバムを象徴しているものであり、同時にジャズの原点であり、未来の我々の生き方に一つの方向性を示したものだと言える。

トランペットは、消耗する部品がないので、さらに「エコ度」は高くなる。しかもポケット・トランペットは小さいので、これだけぶら下げて歩けば、どこでも音楽が出来る。そんな態度を嗅ぎ取って自分もポケット・トランペットを購入したが、まだモノにはなっていない。

このアルバムは、自信を持ってオススメする勇気はないけれど、僕は実際よく聞いている。多分、てらいのない主張が快いのだと思う。とにかくドン・チェリーの他の音源もどんどん聞いてみたい。

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3
◆フルトヴェングラーかカラヤンか/ヴェルナー・テーリヒェン

面白かったが、そうだろうな、という感じ。要は本書はカラヤン論である。

それと、ベルリンpoは規格外の個性を待ちわびているんだなと感じた。カラヤンとフルトヴェングラー、両者とも愛おしく感じるようになった。

216c25db.jpgこのアルバムを知らない人はモグリだと思う。

ところで、僕はOJC盤で長らく聞いていたけれど、日本盤は「コンプリート」と銘打ち、ボートラが2曲多く、OJC盤を選んだ事を長い間後悔していたのだけれど、汚い大人になった最近1000円で再発されたのでゲットしたぜ。

せっかくなので、ボートラを紹介してみよう。


8 オールマン・リバー

ミュージカル「ショー・ボード」からの1曲だが、俺、この歌を聞いてると涙が出そうになる。歌詞の内容を知ってから更にだ。500円DVDでもリメイクが出てるから聞いてみたらいい。ジェローム・カーンの最高傑作だと思う。

ただ、構成が複雑なことや、いわゆる歌詞の問題等でなかなかジャズで取り上げられることが少ない。フレディ・レッドが取り上げていたが、超快速だし、第一これはピアノで弾いたらだめだ。

その分、アートはテーマ部は150点を献上しちゃう。ぐっと低音で歌うところ、それにからむ悠久の川の流れを感じさせるストリングス。この曲の裏に潜む黒人労働者の果てなき悲しみをも浮かび上がらせてゆく。こんな演奏、そう聞けるものではない!!

そこが終わると2コードだけのアドリブ展開になるが、ここが中途半端な演奏&アレンジに聞こえ、オクラになったのだろう。けれど、テーマ部のあまりの美しさ、必聴!OJC盤にも収録。

9 ヒアズ・ザット・レイニー・デイ(別テイク)

国内盤のみ収録。マスター・テイクでのキメがここでは聞かれない。曲の下見、といったテイクだろう。でも、マラソン選手の力を抜いたジョギングを見ていても見応えがあるように、このテイクも面白いものである。

10 ウィンター・ムーン(別テイク)

国内盤のみ収録。ホーギー・カーマイケルの作品だが、彼の歌で聞いたことはない。沈鬱な雰囲気で始まり、途中でブルース進行になるのが面白い曲だ。オリジナル・テイクをあまり熱心に聞いてなかったのがバレちゃうテイク。違いが分かりません〜(笑)。

11 ホエン・ザ・サン・カムズ・アウト(別テイク)

国内盤のみ収録。これも違いが分からない(笑)。ただ、よりゆったりしている。オケと同録で行われたことが分かる。

12 アワ・ソング(別テイク)

これは、本当に悲しい曲だよなぁ。出のフレーズが違う。ビブラートを殺し、より諦念の気分が強いというか。逆にストリングスは終わり近くにはポルタメントを掛け、悲しみの気分を盛り上げる。アドリブの完成度はやはりマスター・テイクにはかなわない。OJC盤にも収録。

13 プリズナー(別テイク)

この原曲は知らないけれど、アワ・ソング以上の悲しみとやりばのない怒りを感じさせる。このマスター・テイクはまさにアート・ペッパーの人生が集約された演奏だけれど、このテイクはアレンジが、他の別テイクより違いが大きく、価値があろう。

最後はバンドだけになり、循環コードのアドリブ祭りになるが、先述の「オールマン・リバー」と似た構成だ。「プリズナー」でアルバムが締めくくられることが決まった時、必然的に「オールマン〜」のオクラが決定したのではないだろうか。OJC盤にも収録。

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筋肉痛引き続き。ストレッチをやってから走った。さすがにもう暑いね。夏のランニングがちょっと不安だ。明日はまた江戸川に行く予定なので、治っていて欲しいな。

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1e18616b.jpgMP3プレイヤーを買ったおかげで、ランニング中も通勤時も音楽を聞けるようになってうれしい。で、一か月くらい使ってきて、やっぱりビーチ・ボーイズの音楽が自分にとって一番掛け替えのないものだと思った。というか、ヘッドフォンにぴったりな音楽でもあるのだけれど。

いわゆる、ブライアン・ウィルソンが製作した、フィル・スペクターに影響されたモノラルの分厚い音は、音量を上げればどんどん音のベールが剥げて行き、常に新しい発見がある。

ところで、ビーチ・ボーイズの傑作の一つとされる「トゥディ!」というアルバムがあるのだけれど、僕はこれを「習作」と位置付けていた。しかし、どうしたことだろう、最近このアルバムの魅力に開眼してしまった。かつての自分を穴があったらほうり込みたいくらいだ。

このアルバムに入っている「ヘルプ・ミー・ロンダ」という曲があるのだけれど、この曲にさらに緻密なアレンジを加え、全米No.1を獲得したシングル版もあり、それはその次の「サマー・デイズ」というアルバムに収録されついる。

もちろん僕はシングル盤をよく聞いていたのだけれど、「『トゥディ!』開眼」にあたり、このオリジナル・バージョンの方が実は魅力的なんじゃないかと思うようになった。というよりも、「サマー・デイズ!」に入ったシングル盤は、それだけ浮いているというか、あまりに完璧すぎ、アルバムに馴染んでいない印象を僕は受ける。

やはり、ファースト・インプレッションがベストということか。ファースト・インプレッションを出発点にアレンジを加えるわけだから、凌駕できるはずもないのだ。ベートーヴェンのように、ファースト・インプレッションをも疑う作曲をしない限りは。

緻密でかつ魅力的にするならば、ファースト・インプレッションで完成形まで思い描くしかない。自分も作曲をする時に、ファースト・インプレッションを出来るだけ完璧に近付けてから、鍵盤に触れるようにしている。鍵盤に触れた途端、ファースト・インプレッションは凝固を開始する。固り切る前に曲を完成させる。凝固をストップさせる方法は一応あって、音楽のことを忘れぼーっとすることだ。

ビーチ・ボーイズの音楽は、楽しいファースト・インプレッションに溢れている。そして1年に4枚もアルバムを製作していた過密なスケジュールが、その楽しさをそのままパッキンすることに成功している。これはそのまま芸術というもののありかたへの問いにもなるのではないか。

ブライアンをロック界のモーツァルトと呼ぶ人もいるけど、確かにそうなのかもしれない。とにかく、シングル版の「ヘルプ・ミー・ロンダ」は、立派だが楽しくない、「ハイドン・セット」みたいな曲になってしまっていると思う。

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もち、今日はしるつもりはなかったけれど、ずいぶんひどい筋肉痛だな(笑)。マラソンで筋肉痛って意外や始めてかもしれない。昨日のレースペースと基本走×3が効いたんだな。

今までいかにチンタラ走っていたかを物語る一幕ではあります。

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8fbb8f6f.jpg高校生の時から手に取っては「念聴」していた、欲しかった一枚。汚い大人になった最近1000円で再発されたので手に入れた。

予想は覆されたといって良い。意外に地味でおとなしかった。決して険悪にはならないものの、もっとスリリングな音の氾濫を思い描いていたからだ。

これを聞いて「ソニー・スティットって能面だよな、うまいけど」と思った。それが寒々しい印象を与えるかもしれない。彼のライバルというか、師というか、パーカーの方がよほど表情豊かに聞こえる。

その寒々しさは、ピーターソンの陽気なピアノでもカバー出来ないようだ。というか、この2人はするべくして共演したのだろうか?なんとなく「お仕事」という感じもするのだけれど。

ただ、こういうクールな肌触りに慣れ「こういうジャズあるんだなぁ、ソニー・スティットは何も語らず、ただ楽器だけを吹き続けたんだな」と認識を改めると、その無表情のソニー・スティットに、風雪に耐えたダンディズムを感じないだろうか、いや感じる(反語)。

妙な甘さを絡めないスティットのアドリブは聞けば聞くほど味が染み出して来るようだ。やっぱり問題はオスカー・ピーターソンで、バップ・チューンやブルース・ナンバーで、ややアドリブが発展しなかったのだと思う。ピーターソンはやっぱり「歌もの」に天衣無縫のアドリブを見せる。

まあ、3人で完全無欠のピーターソン・トリオにバッパーのスティットを迎え入れたわけだから、どちらかが遠慮しなければなりたたない。レイ・ブラウンのベースを聞くと、やはりピーターソン側が引いたのだろうね。

もっと「歌もの」で構成されていたら、なんて考えてしまいますが、正統的なバップ・フレーズを長時間味わえるこの盤は、良盤と言えます。ボートラのラスト、スゴイネ。ただ、パーカーに勝てない理由もなんか分かる。

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7c536f17.jpgこれが面白くて毎日聞いている。どうしてこんな面白いCDを知らなかったんだろう。クレージー・キャッツの方が音楽的には立派だけれど、その歌詞の独自の視点とアイディアは瞬発的にクレージーをぶっちぎる。あと、歌い回しにとてつもない情報量が込められてる。

なぜ民謡の「オクラホマ」が「アーパー・サーファー・ガール」なんてタイトルになるのだろう?「マイムマイム」のサビが「オジさんオバさんみんなで一緒にそいつら蹴っ飛ばせ」なんて歌詞になるのか。余りにナンセンスすぎる。

「上のヒト音頭」の安っぽいオケは、クレージーの後期やドリフターズのサウンドに近い。クレージーは完全に時代遅れになった印象を与えたものだけれど、なぎら健壱のはさらに滑稽さをあおる構造だ。これは音楽界の彼の立ち位置の問題だろうか。「アーパー〜」や「なぎらのマイムマイム」や「ソーリトレイン」なども同じ。

本当に宝物のようなベスト盤だ。「ラブユー東京スポーツ」もまったく現代にも通用する風刺になっているし、電車に乗って来たヤーさんと回りの乗客を描いた「YASUOSAN」は落語のようだ。「悲惨な戦い」は放禁になったオリジナル版でないけれど、面白い。ただ、僕は「YASUOSAN」の方が面白く感じる。

いま、「泳げ!たいやきくん」がリバイバルしているけれど、そのB面は、なぎら健壱の「いっぽんでもニンジン」で、その曲も収録されています。ちなみに、なぎら氏はタダでこの曲をあげてしまったそうで、印税はまったくもらっていないそうです。粋人ですなぁ。

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